高血圧症
高血圧とは?
高血圧というのは血圧が高い病態のことです。たまたま病院とかで測った血圧が高い時には高血圧とはいえますが「高血圧症」とは言い切れません。高血圧症とは一時的に血圧が高いことではなく、何度も繰り返し血圧を測定し、正常より血圧が高い場合、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上を「高血圧症」と診断されます。
そもそも血圧とはどのようなものかと言うと、血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の壁を押す力のことを言います。血圧は心臓が血液を送り出す力と血管の拡がりやすさで決まります。腎臓の働き、神経、ホルモン(内分泌系)など様々な要因で血圧は調節されています。
なぜ血圧が高いといけないのか?
血圧がかなり高い時には、頭痛やめまい、肩こりなど起こりやすいですが、基本的に多少血圧が高くてもそんなに症状が出ないことが多いです。なのでほったらかしにしてしまいがちですが、なぜ血圧が高いといけないのでしょうか。
福岡県の久山町で行われた有名な統計があります。町民を血圧の高さでグループ分けし、長期間追跡した調査研究です。
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。収縮期血圧が10mmHg上昇するにつれて、脳卒中のリスクが男性では20%、女性では15%高くなります。その他にも心筋梗塞、狭心症などの心疾患、慢性腎臓病なども血圧が高いほど発症リスクが高くなります。
高血圧症の種類
本態性高血圧症
原因がはっきりしないもので、高血圧症の90%程度がこの本態性高血圧症に当てはまります。遺伝的な原因と生活習慣などによるものが考えれれています。
原因としては以下です。
・塩分のとりすぎ
・肥満
・喫煙
・ストレス
・運動不足
・野菜不足
・自律神経の異常
二次性高血圧症
血圧上昇のはっきりとした病気がある場合、二次性高血圧症と呼びます。腎動脈が狭窄している、内分泌ホルモンの異常(原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など)などが挙げられ、原因を除去できれば治療が期待することができます。
高血圧の治療について
高血圧の治療は「生活習慣の改善」と「降圧薬による治療」の2つに分かれています。まずは生活習慣を見直すことが大切で、そうしないと血圧が下がらないばかりか、高血圧以外の糖尿病や生活習慣病や様々な合併症が進行してしまうからです。
日常生活の改善
- 塩分制限
生活習慣の中でも最も注意する必要があるのが減塩です。塩分の主成分であるNaには血圧を上昇させる作用があります。国民の平均塩分摂取量は10.8g(2018年厚生労働省の発表)となっていますが、高血圧症がある場合はこれを6g未満にすることが目標となります。
- バランスの取れた食事
肉類などは飽和脂肪酸やコレステロールを多く含み、血圧を上昇させる作用がありますが、植物性油や魚には不飽和脂肪酸が含まれており、血圧を下げる働きがあります。
- 禁煙
喫煙によって、ニコチンが交感神経系を刺激することにより血圧、脈拍が上昇します。さらに長期的には喫煙によって動脈硬化が進行し、血圧が上がります。
- 適度な有酸素運動
運動することにより、体重が減少し、血圧や血糖値、コレステロールなど下がります。ややきついと感じる中等度の運動が効果的とされています。
- ストレスの回避
仕事や人間関係によるストレスも血圧上昇に影響します。
- お酒を控える
適度な飲酒(日本酒では1日1合程度)は循環器疾患には良い方向に働くというデータがありますが、それ以上の過度な飲酒は様々な悪影響を与え、高血圧にもなります。
薬物治療
生活習慣改善を行うも改善が改善が厳しい場合は降圧剤による薬物療法が行われます。
主な降圧剤に種類は、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体阻害薬、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬があります。
薬物療法が始まったら、根気強くお薬の内服を継続することが大切です。自己判断で投薬を中止しないようにしましょう