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「橋本病」で治療が必要なのは約20%ぐらい

[2022.09.10]

甲状腺疾患は大きく分けて、甲状腺ホルモンが多い甲状腺機能亢進症(中毒症)と甲状腺ホルモンが少ない甲状腺機能低下症に分類されます。

シンプルに考えると、甲状腺機能亢進症(中毒症)では甲状腺ホルモンが過剰に出ているので、ホルモンを抑えるための治療(内服、放射線、手術治療)が必要です。逆に甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンが少ないので甲状腺ホルモンを補う内服加療が必要となります。

甲状腺機能低下症の多く方は「橋本病」が原因のことが多いです。しかし、「橋本病」の患者さん全員が、甲状腺ホルモン(チラージン)の内服が必要な甲状腺機能低下症ではありません。

そもそも橋本病の病態というのは「自己免疫」が関わっています。免疫というのは外部からの病原菌などをやっつけるのに体にとても大切なものなのですが、それが何らかの原因で自分の体を攻撃してしまうようになってしまったのが「自己免疫」です。橋本病はこの自己免疫によって甲状腺に慢性の炎症が起こり、甲状腺が腫れてきたり、萎縮してしまいます。長年、慢性の炎症で甲状腺が疲れて、ホルモンが出せなくなってくるとホルモン不足になり、この状態になるとはじめて「甲状腺機能低下症」となり、ホルモンの補充(治療)が必要になってきます。

橋本病は非常に頻度の高い病気で具体的な数値で言うと、成人女性で約10人に1人、成人男性で約40人に1人の割合でみられます。とても多いですよね💦

しかしこの橋本病の中でも全員が甲状腺機能低下症になるわけではなく、ホルモン補充(治療)が必要になるのは4-5人に1人程度と報告されています。残りの約7-8割の方は、慢性的に甲状腺に炎症を起こしていますが、甲状腺ホルモンの値は保たれたまま、変な言い方をすると生涯を終えてしまうのです。

しかし、注意が必要なこともあります。それは妊娠中、もしくは妊娠を希望している女性です。その時はもう少し、治療の対象が変わってきますので早めに産婦人科や専門医に相談された方が良いと思います。

 

野崎駅前しんご内科 糖尿病・甲状腺クリニック

院長 高瀬真吾

 

 

 

 

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