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橋本病(慢性甲状腺炎)とは?

橋本病とは?どのような病気か?

甲状腺ホルモンは、心臓、肝臓、腎臓など様々な臓器で代謝を盛んにするなど、とても重要な働きをするホルモンです。橋本病ではこの甲状腺ホルモンの量が少なくなる甲状腺機能低下症の代表的な病気です。

橋本病の患者さんはどのぐらいいるのか?

橋本病の患者さんは多く、頻度としては成人女性の10%、成人男性の2.5%と言われています。しかし、注意が必要なのは橋本病の患者さん全員が甲状腺ホルモンが低下するわけではなく、約20-25%の確率でホルモンの補充が必要になります。橋本病の多くの人は甲状腺ホルモンの分泌量が保たれています。特に30-40歳代の女性に発症することが多いです。

橋本病の原因、症状について

橋本病は自己免疫疾患の一つです。免疫とは体を守るために外部からの細菌やウイルスを攻撃するものですが、自己免疫とは外部の細菌などではなく、自分の体を攻撃してしまうもので、自己免疫による病気を総称として自己免疫疾患と呼ばれます。橋本病ではこの自己免疫により、甲状腺に慢性的に炎症が生じていることから慢性甲状腺炎とも呼ばれています。慢性炎症は炎症の程度も軽度で、発症当初は甲状腺ホルモンの分泌も保たれるのですが、徐々に甲状腺組織が破壊され、甲状腺ホルモンが産生されなくなると甲状腺機能低下症になります。この免疫の異常、自己免疫の発症に関して、原因はわかっていません。元々橋本病の人が妊娠、出産、ストレスなどの影響により甲状腺機能低下症を発症すると考えられています。

症状は甲状腺機能低下症になると以下の症状が生じやすいです。

頚部の圧迫感や違和感、無気力、疲れやすい、全身のむくみ、寒がり、体重増加、かすれ声、便秘など

これは甲状腺ホルモンが不足することで、全身の代謝が低下する影響です。うつ病や認知症の症状に似ています。

橋本病の治療について

甲状腺機能が正常の場合は、原則的に治療は必要ありません。

甲状腺機能低下症がある場合はチラーヂン(合成T4製剤)の内服を行います。ヨードの摂取量が多い場合はヨード制限も必要です。潜在性甲状腺機能低下症では、妊娠中もしくは妊娠を希望している場合はチラーヂンを開始します。また甲状腺刺激ホルモン(TSH)が10μU/ml以上や脂質異常症がある場合はチラーヂンを開始することもあります。

経過としては、一旦、甲状腺機能低下症になると、生涯チラーヂンの補充が必要になることがほとんどです。

橋本病で妊娠中や妊娠を希望している際に注意すること

甲状腺自己抗体が陽性の際、TSHが2.5μU/ml以上の軽い潜在性甲状腺機能低下症であっても、流早産や妊娠中のトラブルを引き起こす可能性が高くなります。チラーヂン補充によりリスクを改善するということが明らかになっています。橋本病では妊娠希望の患者さんではTSH2.5μU/ml以下にすることを目標にチラーヂンの内服を調節します。

 

 

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